このあたりがなんだかざわついているので出来るだけわかりやすく解説したいと思います。
合わせて、2020年12月17日、日本自動車工業会のお偉いさんが急遽オンライン会見された内容についても避けられないので、一緒に解説したいと思います。
概要
政府などから、
20XX年までにガソリン車から全部EV車に移行します!
みたいな発表や、
カーボンニュートラル目指します!
といった発表がありました。
それに対し世間はざわつき、日本自動車工業会のお偉いさんがオンライン会見されました。
会見の内容は、ひとことでいうと、頑張るけど、車だけの問題じゃないよ。といった内容。
ひとつずつ解説していきたいと思います。
カーボンニュートラルとは
まず背景として用語を解説したいと思います。
カーボンニュートラルとは、CO2をゼロにすること?と思っていましたが、そうではなさそう。
日本自動車工業会の解説が非常にわかりやすかったです。ここでは端的に解説したいと思います。
カーボン=炭素
カーボンとは、以下炭素のことを指します。
- CO2:化石燃料の燃焼
- 一酸化二窒素:堆肥、海、その他燃焼
- メタン(生ごみや、牛のげっぷなど)
- フロン(エアコンや冷蔵庫)
ちなみに、その中でCO2(二酸化炭素)が注目されている理由は、カーボン(炭素)の中で、(日本では)一番多いから。
ただし、牧畜・酪農が盛んな国などは、CO2より一酸化二窒素やメタンのほうが多かったりします。
ニュートラル=中間
ニュートラルとは、温室効果ガスの中間を指します。
- 少ないと、熱は宇宙に放出され、温度は-19度まで下がる。
- 多いと、温暖化が進む。
この中間のいい感じのところを目指す。といった活動が、カーボンニュートラルと呼ぶようです。
炭素と何の中間?=植物
炭素と何の中間といっているのかというと、おもに植物になります。
目安としては以下の通りです。
- 呼吸(人1人)に対し、スギ23本相当
- 排出ガス(車1台)に対し、スギ160本相当
- 電気・ガス(1世帯)に対し、スギ460本相当
自動車の分野で、何にCO2使っている?
ガソリン車が「走っているとき」にCO2が排出されているのは当然の事ではありますが、実はそれだけでなく、自動車を
- 「作るとき」
- 「運ぶとき」
- 「廃棄するとき」
- 「電気をつくるとき」
にもCO2を排出しています。
仮に走行時だけゼロになっても、他が倍になってしまったら本末転倒ということですね。
※電気をつくるとき
- 火力発電:CO2排出する
- 太陽光・風力・地熱:CO2排出しない
本題。会見の内容について
CO2削減に貢献
今まで、CO2削減の話でいうと、貢献していると思っているとの事。
・CO2排出量 | 22%削減 | (2001年と2018年を比較) |
・平均燃費 | 71%向上 | (2001年と2018年を比較) |
・次世代車の比率 | 36%増加 | (2008年と2019年を比較) |
・電動化比率 | 35%(世界第2位) | ※パーセンテージでなく台数ならダントツ1位 |
・製造工場の排出量 | 36%削減 | (1990年と2018年) |
なんか、車業界、めっちゃ貢献している風に見えますね。^^;
日本で自動車が作れなくなる?
このままでは、カーボンニュートラルのルールでいうと、日本で自動車が作れなくなってしまうかもしれません。
上記用語解説にもあったように、ただ走行だけでなく、生産の工程でもCO2排出が発生します。
さらに、この走行にも生産にも使っている「電気」は、日本では火力発電に頼っている状況であります。
- 日本
火力発電 | 77% |
再エネ・原子力 | 23% |
- ドイツ
火力発電 | 53% |
再エネ・原子力 | 47% |
- フランス
火力発電 | 11% |
再エネ・原子力 | 89% |
今後CO2削減が進んだとしても、電気の面でも削減が進まない事には・・・。
理想と現実1
だからといって火力発電を減らせばいいのか?とは言えない現実が。
仮に、今あるガソリン車を全てEV化した場合、今の発電所のさらに10~15%増やさないといけなくなるとの事です。
原発なら10基、火力発電なら20基が追加で必要。
理想と現実2
充電設備が必要になります。ガソリンスタンド的な場所や自宅など。
しかも高額で見込みでは14兆~37兆円かかるとの事です。
理想と現実3
生産のお話になりますが
EV車が完成したら、いろいろな検査を行っておりますが、その中でもバッテリーの充電・放電などの検査項目などが倍増します。
見込みでは、今の30倍必要に。(労働コストも2兆円増)
せっかく走行面でCO2削減出来ても、生産面でCO2倍増してしまったらカーボンニュートラルの達成は遠のくかたちに・・・。
軽自動車は必要
軽しかすれ違えない道が、日本では85%もある。
都会は無くても生活可能だが、地方ではライフラインになっている。
ガソリン車さえ無くせばカーボンニュートラルが達成出来ると言われがちですが、
そもそも日本には、以下のような、いろいろな低燃費に向けた活動・種類があります。
- HV(ハイブリッド)
- PHV(プラグインハイブリッド)
- FCV(燃料電池自動車)
- EV(電気自動車)
この中で軽自動車とどう組み合わせるか。
日本らしい「カーボンニュートラル」を達成させるとの事です。
ガソリン車さえ無くせば良いみたいな話をよく聞きましたが(現に私もそうだと思っておりましたが)、単純にそうではないんだということなんですね。
自動車業界はチャレンジすることを決めたと明言
自動車業界は、チャレンジすることを全会一致で決めたと明言してます。
あとは、政治家の方々やマスコミに向けたご理解とご協力の言葉を向けておりました。
最後に
ここまでふわっと解説してみましたが、もし、ご興味ありましたらご覧になってみるのもよいかと思います。
(キーワード「2020年12月17日 日本自動車工業会 豊田章男会長 オンライン会見」)
車だけでなく、発電所や、生産面・雇用と、杭を打ったら別の杭が飛び出てしまうような、いろいろ影響のある奥深いお話で面白いなぁと思いました。
ただ太陽光発電を建てても、カーボンニュートラルを目指すことにはならないって感じですかね。例えるなら、森林伐採して設置するみたいな。
大げさかもしれませんが、個人的には日本の未来に向けた提言のようにも思えました。
さて、この会見から、しばらくたちましたが、進展はいかがでしょう。
政府からの支援は果たしてあったのでしょうか。
私のような一般ピーポーには伝わりづらく、関係者しか把握していない状況なんでしょうけど。
日本の軸といっても大げさでもない産業なので、本当に良い方向に進んでいてくれることを願うばかりです。
最後まで見てくれてありがとう。